HOME > 仕事人のつぶやき > 町のお医者様
スタッフブログ
2019/10/16

町のお医者様

仕事人のつぶやき

こんにちは。kutsukakeです。

 

 

 

 

 

 

 

私の住む町に、昔からある小さな内科の医院があった。

 

 

 

 

先代の先生はお亡くなりになりその後、医院の名前はそのままで

 

 

 

 

後輩か教え子かに当たる先生が

 

 

 

 

ずっとお一人で診ておられる。

 

 

 

 

また、受付兼、薬剤師兼、助手兼…なんでもされるマサコさんという女性が一人。

 

 

 

 

この方はこの医院のお嬢様で、

 

 

 

 

看護師ではないのだが、

 

 

 

 

常に先生と共にいらっしゃる方。

 

 

 

 

その先生も現在90歳を越えていらっしゃるだろう。

 

 

 

 

先ほどあげたマサコさん。

 

 

 

 

とてもお美しい方で年齢は不詳だが、

 

 

 

 

70歳は越えていらっしゃるだろうと聞く。

 

 

 

 

私が生まれた時からお世話になっている町のお医者様だ。

 

 

 

 

いや、母の小学生の頃の校医でもあったので…

 

 

 

 

代々お世話になっていた。

 

 

 

 

その先生もやはりお歳。

 

 

 

 

腰を悪くされて診察室の椅子に座っているのもお辛そうだった。

 

 

 

 

診察時間が午前中のみとなり、

 

 

 

 

仕事をしている私は行けなくなってしまった。

 

 

 

 

最後にお世話になったのは1年前の年が明けて間も無く。

 

 

 

 

風邪をこじらせ肺炎になった。

 

 

 

 

夜の8時ごろだった。

 

 

 

 

苦しくて、薬だけでもと、夜、医院へ電話をした。

 

 

 

 

すると…

 

 

 

 

5駅も離れたところにお住いの先生が、

 

 

 

 

今から診てあげるから今すぐ医院に来なさいと言ってくださった。

 

 

 

 

先生のお孫さんが先生を医院まで送ってくださって、

 

 

 

 

私を待っていてくださった。

 

 

 

 

聴診器をあてて、採血をし、お薬を出してくださった。

 

 

 

 

マサコさんがお薬を用意している間に帰宅される先生が私の前を通る。

 

 

 

 

杖をついて歩く先生に椅子から立ち上がりご挨拶をした。

 

 

 

 

すると先生が呟いた

 

 

 

 

「君は大きいね。そんなに大きかったかい?いや…大きくなったんだね」

 

 

 

 

微笑んで帰って行かれた。

 

 

 

 

子供の私から見ても先生は格好が良かった。

 

 

 

 

スラッと背が高くスマートな先生。

 

 

 

 

カフスボタンのついたシャツをいつも着ておられた。

 

 

 

 

180cm近い身長があった先生が

 

 

 

 

159cmの私に呟いた言葉。

 

 

 

 

赤ん坊の頃から診ていただいていた先生。

 

 

 

 

先生の言葉がとても誇らしく、光栄に感じたのを覚えている。

 

 

 

 

そんなことがあって3ヶ月後に閉院されると町の噂で聞いた。

 

 

 

 

閉院されたら、きっと二度と入ることはないだろう。

 

 

 

 

ととても貴重な空間に感じたので、

 

 

 

 

もう先生が来られることがない医院に

 

 

 

 

風邪のお薬だけもらいに行った時にこっそり写真に収めた。

 

 

 

 

とても趣のある建物、空間なのでこのブログに載せさせていただきます。

 

 

 

こちらが佇まい。

 趣ございましょ?

 

 

 

入って奥

奥はお住い。手前が受付。

 

この石框と石框に渡した板。こちらはものすごく重要。

 

左が受付兼薬局。右に謎の板の間があってその奥が診察室。

 

薬局と診察室を行き来するのにこの板の上をマサコさんが小走りで走り抜ける。

 

この板、多分取り替えられたことはないと思う。

 

初めて見た頃から黒光りをし通るところだけはげている。

 

見事なしなり様なのだ。

 

 

 

 

受付 

何もかも年季が入っている。

 

 

 

 

薬局でもある

昔はこちらでマサコさんが薬の調合をやっていた。

 

今でも上皿天秤が鎮座している。

 

 

 

 

受付で名前を言って…

これまた年季の入った上がり框があり待合室へ。

 

 

 

 

ガラス障子がクラシック

いつも胡蝶蘭が置かれていたな…。

 

さすがお医者様

 

 

 

 

待合室の中

 適当に座布団を引き寄せて座る。

 

 

 

 

おもむき…

ハンパないって。

 

 

 

 

中庭が見える。

左奥のレースのカーテンがあるところが診察室

 

 

 

 

妙に落ち着く待合室

いつも“婦人画報”が置かれていた。

 

柱の上についているインターホンで診察室から先生が名前を呼ばれる。

 

これも昔のままだ…。

 

 

 

 

奥のガラス障子を明けてスリッパを履く

左すぐに診察室のドアがある。

 

 

 

 

こちらが先に言った謎の板の間

奥が診察室でマサコさんが行き来しすぎて完全に床がはげている。

 

ここまでくると格好良い。

 

実はここ…

 

インフルエンザの患者が待機させられる場所でもある。

 

「インフルエンザかも」の患者はとりあえず待合室には入れてもらえない。

 

ここで待機していると防護服の様な術衣を着た完全防備の先生が

 

長い綿棒を持ってやってくる。

 

即、鼻へ。

 

インフルエンザじゃないと分かるまでここで待たなければならない。

 

みんなを守るのが先生の仕事。

 

なので仕方ない。

 

 

 

 

看板が外される前の医院

今は残念ながら看板を外されひっそりと佇んでいる。

 

 

 

 

 

間違いなく“私の心に残る”ものである。

コメント

  • 貴店の集客ポスター作ります!